乳歯とは、後継永久歯と生え変わる歯であり、生え変わる永久歯を「代生歯」(だいせいし)とも言います。したがって6歳頃に生える第一大臼歯、12歳頃に生える第二大臼歯、「親知らず」とも呼ばれる第三大臼歯は代生歯ではありませんので、同じ永久歯といっても2種類あるわけです。

 

乳幼児期の口の中の大きさと成人の口の中の大きさを比較すると、乳幼児の口の中の大きさは1/3ほどでかなり小さいのです。その小さな顎に大きな永久前歯は生えきれません。しかし一歳以降からは、母乳あるいは人工乳の栄養摂取では足りず、固形食による栄養量を必要とします。そこで、小さな顎にフィットする可愛らしい乳前歯が必要となるわけです。

 

乳前歯は永久前歯の役割と全く同じで、捕食する、噛み切ることが主な役目ですが、その他に発音、咀嚼(そしゃく)機能の発達に重要な役割を演じています。一方、乳前歯は 永久前歯と異なるところは大きさだけでなく、歯の根(歯根:しこん)の形態にあります。乳前歯の根は、永久前歯が成長するようにスペースを作るように曲がっています。将来大きな口にフィットする永久前歯の歯冠全部と歯根の一部ができるまで、永久前歯を守りながら機能しているのです。