一歳頃までに離乳が完了し、ペースト状のものから徐々に歯ごたえのあるものに移行する頃に第一乳臼歯が生え、何でも食べるようになる頃に第二乳臼歯が生え、それらの食形態に対応できるようになっているのです。

 

乳臼歯の歯茎から出ているところ(歯冠)の形は永久歯の奥歯とよく似ており、また根もしっかりとし、2~3根と複数あり、噛む力(咬合力)に十分耐える形態を備えています。幼児の口の中の大きさは、成人と比較すると著しく小さいが、何でも食べられる咀嚼能力が要求されるため、乳臼歯の下にあり、乳臼歯と入れ替わる永久歯の小臼歯より噛む部分が大きいのが特徴です。このように、乳臼歯は食物を噛み砕き、噛み潰すことが第一の役割です。

 

幼児期からの小児期は日々成長、発達しており十分で適切な栄養を必要とされます。しかし虫歯(う蝕:うしょく)になったり、虫歯で歯を抜くようになると咀嚼力は著しく減少します。そのため重症う蝕児は低体重で、免疫力の低下した子供になることが、研究から明らかになっています。

また十分な咀嚼力がないため軟食となり、口腔機能の発達に悪い影響を及ぼします。