乳歯は、永久歯列に影響します。乱れたまま放っておくと不正咬合につながる場合もあります。「乳歯は生え替わるから大丈夫」と油断してはいけません。治療一般に言えることですが、治療に対する要望は患者本人である子供ではなく、保護者から出てくることが大部分です。従って治療に際しては、保護者の協力がなくては何事も進みません。

保護者、特にお母さんが、お子さんの現在の歯の状態を理解し、治療に対して消極的な子供の場合はその気持ちを積極的に良い方向に向けていくように協力的な対応が重要になります。
赤ちゃんは歯が早く生え代わります。生後半年ぐらいで乳歯が生えてきますが、上から順序よく生えてくるのではなく、最初に顔を出すのは、一般に下あごの乳中切歯です。少し離れた位置に生えてきたという感じがするので、心配される保護者(ご両親)もいますが、これは何本か生えてくるにつれて、きれいに並んできます。5~6歳頃になり、乳歯から永久歯に生えかわる時期が近くなると、乳切歯のあたりでは、歯と歯の間にすき間が生じます。これは歯の生えているあごが発育したためで、いわば大きな永久歯のスペースを確保するためで特に心配いりません。逆に、この時期になってもすき間がなく、きれいな歯並びだと問題です。これはあごの成長が少なくすき間ができなかったためで、永久歯はデコボコに並びます。また、同じ頃に上と下の歯を咬み合わせてみると、以前よりも重なりが浅くなり、上下の乳切歯の端が突き合わせで咬むような状態になります。