乳歯にはときとして前歯の縁の部分や臼歯の咬合面(嚙合わせる面)に大きなすり減りが(咬耗:こうもう)が見られることがあります。前歯や臼歯に同時に大きな咬耗が見られる場合は、過度の歯ぎしりなどの異常を疑う事がありますが、それ以外の前歯だけや臼歯だけの咬耗の場合は、多くの場合、正常と考えられ、経過観察となります。

乳児の咬耗は乳歯の硬さが永久歯と比べて低く、咬耗が起こりやすいこともあります。また、前歯の効能は、5~6歳頃に永久歯の萌出(ほうしゅつ:歯が生えること)とともに下顎の成長によって生じることもあります。

臼歯の咬耗は、6歳以降に多く見られるもので、長期にわたって乳歯の臼歯が機能してきた結果とも考えられるからです。