智歯周囲炎は、上顎の智歯(ちし:親知らず)では下顎ほど歯の萌出(ほうしゅつ)部位の条件が悪くないため頻度は少なく、多くは下顎に発症します。前述のように、さまざまな程度に埋伏していることが多く、第二大臼歯(だいにだいきゅうし)と智歯の間の隙間や智歯の後ろにできるポケットに炎症を起こしやすいからです。また、歯肉も他の場合と異なり丈夫な粘膜ではありません。

 

智歯周囲炎を発症すると、智歯の周囲が赤く腫れたり、口が開き開きにくくなります。痛みが強い時には鎮痛剤を服用しながら歯の周りを洗浄し、細菌性の炎症を抑えるために抗菌剤が必要となります。

 

智歯周囲炎は一旦症状が落ち着いても再燃を繰り返しますので、抜歯が適応となります。

注意しなければならないのは、下顎智歯周囲炎は重症化しやすいことです。重症化すると周囲の組織である舌の下や首あるいはのどの方に細菌性の炎症が広がり、著しい開口障害のため飲食ができなくなったり、腫脹(しゅちょう)のために息がしづらくなることがありますので、智歯周囲炎を発症した場合にはなるべく早く、歯科医院や口腔外科のある病院に行き、適切な処置を受けることが重要です。