上あごの骨が砕けたり、折れたりする怪我が上顎骨骨折です。多くの場合、顔面の中央部の外傷、転んだり、ケンカ、スポーツ事故、交通事故などで、あごを何かで強く打ちつけた様なときに起こります。皮膚や粘膜の損傷、骨折および歯の脱臼、破折などを同時に合併することも頻繁にあります。

 

皮膚や歯の損傷は簡単にわかりますが、骨折は外から見ただけでは気付かない場合があります。全身のほかの怪我に気をとられ治療も終わり頃になってから、骨折に気がつくこともあります。口があけにくい、噛み合わせがあわないといった症状がある時は X線写真により診断したり、 CT画像により、より正確な診断も行うこともあります。

 

また、頬骨や頭蓋底骨折などの重傷な副損傷を合併していることがあり眼球運動障害や意識障害、また髄液漏などの症状があれば、脳神経外科的治療が優先される場合があります。

 

受傷時の応急処置は、出血に対して圧迫止血をすることが重要で、また病院までの移動時には、頭から下顎までを包帯やタオルで巻いて固定し、うっ血を軽減するように工夫する必要があります。