唾液が作るお口の環境

 

唾液は一般的に一日に約1. 5リットル分泌され、酸性の度合いを示すpHは平均7. 0前後で酸を中和する能力があります。唾液はお口にうるおいを与え、お口の中をきれいにする作用(自浄作用)があります。また、唾液には酸を中和する能力(緩衝能)もあり、食事をした後は、むし歯の原因菌が糖を分解して作った酸を中和してむし歯になるリスクを下げてくれます。また、唾液には酸によって歯の表面(エナメル質)から一度溶け出したカルシウムなどの成分を元に戻す作用(再石灰化)があります。

このように、唾液はお口の環境づくりや歯の健康作りに役立っています。

 

普段、私たちは唾液の存在をあまり意識していないのが実情ですが、唾液は歯と口や健康に深く関わっているのです。

 

 

唾液緩衝能

 

食事をした後など口腔内のpH値に変化が生じたとき、唾液が正常な範囲に口腔内を保とうとするはたらきです。口腔内のpH値は、安静時では6.7~7.6と中性(pH7)に近い数値を示されますが、食事や口腔内にいる細菌が酸を産出するなどして酸性に変化します。これに対して唾液は緩衝液として作用し、口腔内環境を守ってくれ、むし歯になるリスクを下げてくれます。

唾液の緩衝能は、重炭酸塩・リン酸塩・タンパク質の3つの緩衝システムによって調整されています。

その中でも85~95%が重炭酸塩システムによる働きで、唾液中の重炭酸イオン濃度が増すと唾液のpH値も上昇しますが、その重炭酸イオン濃度は唾液分泌量に強く依存するため、唾液分泌量が多いと緩衝能が高くなり、少ないと緩衝能が低くなります。

 

唾液を出すためには水分摂取が重要ですが、利尿作用があるコーヒーや緑茶・ウーロン茶は逆効果です。

唾液を出すには水を飲むのが一番良い方法です。歯磨き後や、食事と食事の間のお腹が空いた頃、寝る前などが良いタイミングです。1回に飲む水の量は、コップ1杯程度で充分です。