一般に乳歯の大きさ、特に横幅は幼児期の歯ぐき全体の大きさに比べて小さいことから、噛み合わせは別としまして、歯並びに不正は出にくいものです。永久歯でよく見かける乱ぐい(叢生:そうせい)、またひどいものとしては、八重歯(やえば)がありますが、乳歯列で八重歯を見たことはありません。
むしろ将来大きな永久歯を受け入れねばならないので、乳歯の大きさに対するより歯ぐきの方が大きいため、乳歯と乳歯の間に隙間が見られます。これを発育空隙(はついくくうげき)と言います。

 

そして上顎(じょうがく)では乳側切歯と乳犬歯の間、下顎(かがく)では乳犬歯と第一乳臼歯の間に隙間が見えます。これは人間だけでなく霊長類全てに認められることから霊長空隙(れいちょうくうげき)と言います。これらの隙間は異常ではありませんので生理的歯間空隙と呼ばれています。しかし永久歯列でこのような隙間があれば異常で、治療を要するか否かは別にして不正咬合に分類されます。