日本人の咀嚼回数は戦前に比べて半分に減ったといわれています。ハンバーガーやスパゲティなど軟らかい欧米式の食品の利用が増えたことが理由に挙げられるていますが、他にも原因があるようです。

 

歯は成人で28本在りますが、少なくとも20本以上自分の歯があれば、健康や長寿につながるとして、1989年に当時の厚生省と日本歯科医師会が主張し「8020運動」が始められました。厚労省の2005年の調査では、自分の歯を20本以上有する人の割合は、60歳以上で約7割、65歳以上で約6割と年齢を増すごとに減っていく傾向が報告されています。

 

歯を失う要因では、口の中の細菌のかたまりであるプラークが原因となり起こる歯周病です。歯周病は最近の研究では、全身の健康とも深い関わりが明らかになっています。

 

2009年4月に米国で発表された研究では、ハーバード大学公衆衛生大学院(ボストン)の研究者達が、歯周病と診断されたことのない3万7000人のデータを解析を行い、1986年から2002年まで16年間かけた追跡調査を行い、体重や腹回りなど歯周病の発症との関連を明らかにしました。

調査結果では、肥満判定の国際基準でるBMI「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」が30以上の肥満の人では、標準体重の人に比べ、歯周病など口腔内の異常が起こる危険が25%から29%高くなっています。また、歯周病を発症する危険は、ウエスト径が40インチ(約102センチメートル)以上の人では19%高く、ウエスト/ヒップ比が0.95以上の人では16%高くなっています。

 

歯周病の人では2型糖尿病や高血圧などの発症が増えたり、進行しやすくなるとも報告されています。研究者は「肥満を予防し適正体重を維持することは、口の中の健康を維持するためにも大切だ」と述べています。

 

糖尿病の主要な病型は1型と2型に分けられます。

 

1型糖尿病

膵臓のβ細胞が壊れてしまい、まったくインスリンが分泌されなくなってしまう1型糖尿病。インスリンを体外から補給しないと生命に関わるため、インスリン注射を欠かしてはなりません。

2型糖尿病

遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満・運動不足・ストレスなどをきっかけに発病します。インスリンの効果が出にくくなったり、分泌のタイミングが悪くなったりします。